その1:ランナーのための栄養
より良いランナーになるためには定期的な運動と正しい栄養の組み合わせが大切です。適切な食事療法を取り入れ、必要な栄養を摂取し、筋肉を修復することを常に意識していれば、運動の効果を十分に発揮することができるでしょう。運動前後に摂取するとランニングの効果が上がる食べ物、栄養素をご紹介します。
ランニング前
炭水化物を適度に含む、脂肪と繊維が少ない軽食を1〜2時間前に摂取してください。 1時間のトレーニングに対して約30グラムの炭水化物を目安とします。フルーツ入りギリシャヨーグルト(200ml位)または、大さじ1杯のピーナッツバターとバナナはお勧めのメニューです。
ランニング中
短く軽いランニングや、過ごしやすい気候の時は、水分補給を忘れがちですが、 60分以上の運動、または10 km以上のランニングの場合は、電解質/炭水化物含有飲料を準備し、ランニング中の水分補給とエネルギー補給をしてください。炭水化物の濃度(糖度)が低い(8%以下の)スポーツドリンクがおすすめです。20分ごとに約300ml程度で十分なはずですので、飲み過ぎにも注意してください。
ランニング後
運動後の1時間以内に、食事をすることが好ましいです。移動などで座って食事が取れない場合は、プロテイン飲料がお勧めです。食事ができる時は、十分な量のタンパク質、炭水化物、脂肪が含まれた、バランスの良いメニューが理想的です。激しいまたは長時間の運動からの回復には、炭水化物とタンパク質の比率が3:1であると、グリコーゲンとタンパク質の合成が促進されると言われています。
適切な栄養がトレーニングの助けになることは間違いありませんが、実際に試して、どんなタンパク質や炭水化物の食品があなたにピッタリであるか探してみてください。
その2:ランナーのためのマグネシウム
マグネシウムは体内で300種類以上もの酵素反応に関与している鉱物で、運動をする人にはとても重要です。近年日本でも欧米化した食生活で不足しがちなマグネシウム、意識しながらしっかり摂取しましょう。
マグネシウムの働き
- マグネシウムは筋肉グリコーゲン(多糖)をグルコース(ブドウ糖)に変換するのに不可欠です
- マグネシウムは乳酸を取り除く効果があります。マグネシウム不足は乳酸の蓄積を促す恐れがあります
- 筋肉の収縮とリラックスには、カルシウムとマグネシウムが必要です
- 効果的なタンパク質の合成と再生には、マグネシウムが必要です
- マグネシウムは、体内でビタミン D を活性型に変換する酵素に必要な物質で、ビタミン Dは筋肉と骨の強化に重要な役割を果たします
マグネシウムには、神経機能や血圧の調整、脂肪や核酸の合成や、免疫機能を高める役割があります。欧米の食事では、マグネシウムの含有量が少ない穀物を多く摂る傾向がある為、マグネシウム不足が起こりがちですが、葉物野菜や、ナッツ、種子類の摂取で改善できます。すぐに始める事で、疲労回復や、筋肉痛、けいれんを助けます。
マグネシウム含有量の一例
食材 量 マグネシウム含有量
カボチャの種 30g(約 1/3 カップ) 160mg
アーモンド 30g(約 30 粒) 90mg
カシューナッツ 30g(約 20 粒) 83mg
ブラジルナッツ 30g(約 8 粒) 68mg
ほうれん草 80g (約 3 株) 64mg
ごま 30g (約大さじ 4) 60mg
ピーナッツ 30g (約 50 粒) 55mg
クルミ 30g (約 5 個) 48mg
バナナ 120g (大1本) 35mg
ブロッコリー 80g (約5房) 24mg
*日本の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」では、食事からのマグネシウムの摂取上限はなく、成人では 300mg~350mgが推奨されています。
アスリートは、より多くのエネルギーを消費し、筋肉を酷使し、大量の汗を流す事でマグネシウム (電解質)を失います。サプリメントでマグネシウムを補う場合、クエン酸マグネシウムやビスグリシンマグネシウムのように、吸収されやすいものを選ぶと良いでしょう。 ただし、400mg以上のマグネシウムを過剰摂取すると、胃腸の不快感や便が柔らかくなる事があるので、注意してください。
その3:ランナーにおすすめの「ミューズリー」レシピ
ローストオーツ 40g、リンゴ 1/4個、青リンゴ 1/4個、
黒レーズン 大さじ1/2、黄レーズン 大さじ1/2、
ローストクルミ 大さじ1、ローストアーモンド 大さじ1、
シナモンパウダー 小さじ1/2、ハチミツ 大さじ2、
プレーンヨーグルト 1250ml、ココナッツチップス 適量
作り方:
- リンゴ2種は薄くスライス、ナッツ類は細かく砕く
- ヨーグルト以外の材料をボールに入れる
- 2にヨーグルトをかける。風味を出すために最低3時間冷蔵庫に置く(ベストは一晩)
- お皿によそい、ココナッツチップスを散らす
By Dr. Tal Friedman (自然療法部門の最高責任者兼研究開発専門家)