カタールの最北端、ペルシャ湾に隣接する地に中東初のウェルネスリゾートとして2022年3月にグランドオープンを果たした「ズラル・ウェルネスリゾート by チバソム」(Zulal Wellness Resort by Chiva-Som)を体験してきました!

ズラル・ウェルネスリゾート by チバソム

まずは、夕刻に成田空港を出発するカタール航空にてドーハまで、約12時間30分の快適な空の旅。お国柄、そしてリゾートの特徴から、しばらくはノンアルコールな日々が続く覚悟をしつつ、空港のラウンジでビールを飲み貯め(?)してからいざフライトへ。
(※注:カタール航空機内でもアルコールのサービスはあります。)

早朝4時過ぎ、カタールの玄関、ドーハ・ハマド空港に到着。なお、訪れたのは10月で、真夏のピークの暑さほどではないものの、それでもやっぱりここは中東。空港を一歩外に出ると熱気と湿気でサングラスは一瞬にしてくもり、自身はもちろんスーツケースまでもが汗をかくほど。迎えに来ていた専用送迎車に一目散に飛び乗り、北へ約120キロ、砂漠地帯をひたすらドライブ。と言っても道はほとんど舗装された高速道路で、Wi-Fi完備でクーラーの効いた車内は快適。
そしてようやくギラギラの太陽が昇り始めた朝6時過ぎ、砂漠の中に突如オアシスのごとく出現した「ズラル・ウェルネスリゾート by チバソム」についに到着!

「ズラル・ウェルネスリゾート by チバソム」(以降「ズラル」)はその名のとおり、世界中のセレブやアスリート達がこぞってリピートするタイ・ホアヒンのウェルネスリゾート「チバソム」が手がけています。マインド、ボディ、スピリットの理想的な健康状態を目指すデスティネーションスパ(目的達成型スパ)であるチバソムは、2025年には開業30周年を迎えます。
そしてここ「ズラル」では、そのチバソムのメソッドと、アラブ・イスラム伝統医学(Traditional Arabic Islamic Medicine – 通称TAIM)を取り入れたホリスティック・アプローチを提供しています。
アラブ・イスラム伝統医学(以降「TAIM」)とは、イスラム教の宗教的影響を背景とするアラブ世界で古代から実践されている医学療法。ちなみに、世界三大伝統医学は「TCM (中国伝統医学)」「アーユルヴェーダ(インド伝統医学)」「ユナニ(インド、パキスタンのイスラム文化圏の伝統医学)」という説が根強いですが、このTAIMが、中国、インドと並ぶ三大伝統医学であるという説もあります。
TAIMでは、「人は食物が変化してできた4つの体液から成り、それぞれの体液には性質がある」と考えられています。その4つとは、熱×乾の「火」、熱×湿の「風(空気)」、冷×乾の「土(大地)」、冷×湿の「水」で、このバランスが崩れている状態を「病気」と定義しています。いかに中庸(真ん中)であるかが大事、ということです。
なお、どの特性が強いのかは個人差があるそうで、ズラルでは専門家による「TAIMコンサルテーション」をオプションで受けることもできます。それぞれの気質や性格、生活環境によって自分の特性が分かり、適したライフスタイルやおすすめのハーブを教えてもらったりできるので、ご興味のある方は是非。

ペルシャ湾に隣接し、28万㎡の広大な敷地を誇るズラルは、いわゆる「中東っぽい」茶色い建物をプールやラグーンが囲い、涼しげな雰囲気を演出しています。
なお、「ズラル(Zulal)」とはアラビア語で「純粋な水(Pure Water)」を意味していて、リゾートのロゴも「Zulal」のアラビア文字を変形させて作られたデザインとのこと。

水に囲まれるリゾート

涼しげな雰囲気は砂漠地帯にいることを忘れるほど

夜もライトアップされて美しい

「Zulal」のアラビア文字をかたどったロゴ

リゾートはレセプションやスパ施設、レストランなどが集まる中心部を境に、ファミリーを含むすべてのゲスト向けの「ズラル ディスカバリー」と、16歳以上のゲスト専用の「ズラル セレニティ」とに分かれています。
本家、タイのチバソムをご存知の方は「あれ?ファミリー(子供)も宿泊できるの?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかも知れません。チバソムでは16歳以上のゲストのみ宿泊可能なのですが、ここズラルでは「ファミリーウェルネス」も大事なテーマのひとつとしており、すべての年齢のゲストが毎日の習慣を見直し、家族揃ってより健康的なライフスタイルを過ごせるようアシストしています。120室の客室とスイートからなる「ズラル ディスカバリー」では、お子様の年齢に合わせて参加できる年齢別アクティビティや、家族全員が一緒に参加できるファミリーアクティビティを多数用意しています。
一方「ズラル セレニティ」は60室の客室とスイートからなり、個々人の目的達成の為、自分を見つめ直し、体質や体型、生活環境の改善を促進すべく、プライベートで平穏な環境を提供しています。

<ズラル ディスカバリー>

デラックス・ラグーンビュールーム

ジュニアスイート

<ズラル セレニティ>

グランドデラックスルーム

グランドデラックスルーム・バルコニー

カタフスイート

カタフスイート バルコニー&プライベートプール

余談ですが、2022年にカタールで行われた「FIFAサッカー・ワールドカップ」で、日本代表とも予選リーグで対戦した「ドイツ代表」が期間中に滞在していたのがこのズラルでした。肉体的にも精神的にも休まる健全なこのウェルネスリゾートを選んだのは最適解だったに違いないですね。

 

さて、ズラルの滞在は、まずは「ヘルス&ウェルネスアドバイザーによるコンサルテーション」から始まります。自分の現在の健康状態や心配事の相談、食生活や運動習慣などについて1時間程度じっくり話し合い、選ぶべき「リトリートプログラム」を決定。
目標に合わせて滞在中のスケジュールをカスタムメイドしていきます。

「ズラル セレニティ」で選べる基本リトリートプログラムは下記の6種類。

<テイスト オブ ズラル>
→総合的なリトリートがバランス良く含まれる一般的なプログラム
<マインド ボディ ウェルネス>
→心と身体と精神のバランスを取り戻す事に特化したプログラム
<セレニティ ビューティ>
→若々しい肌と健やかな美を目指すプログラム
<ナチュラル スリミング>
→長期的な体重管理の為のプログラム
<オプティマル フィジオ フィット>
→肉体的、精神的なサポートと、総合的な運動能力向上と体力回復の為のプログラム
<ストレス リセット バーンアウト リカバリー>
→ストレス、過労や疲労、燃え尽き症候群の克服などを目指すプログラム

私の場合、初めての滞在ゆえ基本的な「テイスト オブ ズラル」を選ぶ予定でしたが、現在の運動習慣について説明したところ、「体力回復と筋力アップ、血流改善を目指した方がいい」(要するに「運動不足である」)とアドバイスされ、「オプティマル フィジオ フィット」の要素も一部取り入れた日程を作成してもらいました。相談って大事。

あとはスケジュールに則り、運動プログラムやストレッチ、スパ、マッサージなどをこなしていきます。
各プログラムの予約時間になったら、「ハウス・オブ・ウェルネス&ヒーリング」という受付カウンターに行く。そうするとそのプログラムの担当者が迎えに来てくれて、いざプライベートプログラムへ…というシステム。

プライベートヨガレッスン

陽の光が差し込むトリートメントルーム

 

 

 

プライベートプログラム以外の空いている時間は、プールに浮かぶも良し、ジムやハマムで汗をかくも良し、自室でくつろぐも良し、ライブラリーで読書にふけるも良し。
とにかく心身ともにリラックスし、ストレスを解放することに専念できます。

ハイドロテルマルプール

テクノジムの最新機器

ハマム

ライブラリー

なお、リゾート内ではデジタルデトックスも推奨されています。他のゲストのプライバシーを守る理由もありますが、「暇さえあればついスマホやカメラを手に取ってしまう現代人の習慣からも解放されよう!」という意味合いが強いです。
と言っても、「スマホを触れないことが逆にストレスになる」という方や、「どうしても仕事の都合でしばしばメールを確認しなければいけない…」という方は、自室内であれば使用できます。(無料のWi-Fiも繋がっています。)

また、リトリートプログラムに含まれているプライベートレッスンの他に、グループレッスンやアクティビティも日替わりでプログラムがあり、前日(空きがあれば当日でも)までに予約をすればそれらに参加することも可能です。

リンギングボールを使った瞑想

サンセット・ビーチウォーク

 

 

さて、ズラルにおいて特筆すべき、食事について。

まず、ズラルのレストランは以下のとおりです。
アル・シドル(ズラル セレニティ側のオールデイ・ダイニング)
アイゾーン(ズラル ディスカバリー側のオールデイ・ダイニング)
アカシア(ファインダイニング ※ディナータイムのみ)
マリブ(ビーチ沿いのレストラン ※夏季は休業)
サークル・オブ・トラスト(バーベキューレストラン ※ディナータイムのみ)

アル・シドル

アイゾーン

ズラルでは「ウェルネス・キュイジーヌ」と呼ばれる健康に良い食事が朝昼晩と、全て宿泊料金に含まれています。「健康に良い食事」と聞くと、「味が薄くて美味しくない」、「量が少なくて食べた気がしない」という「病院食」のようなものをイメージされがちなのですが、まるっきり違います。
パンは全てグルテンフリー、中には消化と脂肪吸収を助けるべく炭が練り込まれたものもあります。サラダは全て小鉢での提供で、キヌアが入ったものや、野菜、海藻などの食物繊維が豊富なもの、消化を促進させるフルーツサラダなど、好みのものをブッフェ台から好きなだけ(適量)食べられます。他にはうずらの卵を使った小さい目玉焼きや、豆のスープや野菜のスープなどが日替わりで提供され、メインには食塩の代わりに岩塩やハーブを使って味付けされた白身魚のグリルや牛肉のステーキ、マイルドな味付けでグルテンフリーの焼きそばやタイ料理、デザートには炭を練り込んだアイスや、砂糖を使わずにロイヤルハニーというハチミツで味付けされたケーキなど、今これを書きながら思い出して生唾を飲むほどに美味しい、多種多様な食事を楽しむことができます。
健康に良いのは当然として、さらに味も見栄えも良く、量も自分で調整できるのです。
実際、今回のズラル滞在は経験豊富なトラベルライターさん達6名を連れたプレス向け研修旅行だったのですが、目も舌も肥えた皆様からも絶賛されたことを考えると、決してオーバーに書いているのではないと自信を持ってお伝えできます。
「ウェルネス・キュイジーヌにしては美味しい」ではなく、「美味しくてさらに健康にいい!」ということです。

ブッフェスタイルで自由に選べる前菜

パンは全てグルテンフリー

朝食で人気のロイヤルハニー

キンパ風キヌアをキャロットソースで

グルテンフリーの焼きそば

炭を練り込んだアイスクリーム

火を囲んでのバーベキューディナー

チキン、ラム、ビーフと野菜のグリル

なお、ズラルではアルコール飲料の提供は一切ありません。もちろんカタールというお国柄、宗教的な観点もありますが(※注:カタール国内でも、インターナショナルチェーンのホテルのレストランやバーではアルコールを提供しているところもあります。)、健康増進を一番の目的とするリゾートですので。
ただ、「美味しい食事には美味しいお酒があったらもっといいのに…」とは、お酒好きな方なら誰でも思うところ。
普段アルコール漬けの私も実際行く前はそう思っていたのですが、不思議と滞在中や食事中にアルコールを欲することがありませんでした。「暴れたところでないものはない」という諦めもあったかも知れませんが、主に考えられる理由は2つ。
1つは、滞在中に適度な運動をし、体に良い食事を摂り続けることで体内環境が良化し、ストレスが軽減した事によってアルコールを必要としなくなったこと。
もう1つは「モクテル」と呼ばれるノンアルコールカクテルが日替わりで楽しめること。フルーツベースのものの他に、人参やハーブ、生姜などを絶妙にブレンドしたものなど、毎日飽きることなく楽しむことができました。

爽やかなオレンジモクテル

リラックス効果のあるジンジャー&ハーブモクテル

帰国後…社会復帰するとどうしても日々の生活の中でストレスは溜まっていきます。スマホとにらめっこの日々を送り、混雑する通勤電車に揺られ、運動不足にはなるし、お酒も飲むし、体を壊すこともあります。
そんな時はズラルでの体験を少しでも思い出し、ハーブティーを飲んでみたり、瞑想にふけってみたり、ストレッチしたり、アルコール抜いてみたりしていますが、そのように考えるようになって実践しているということは、行って体験、勉強したことは間違いなく今後の自分の生活にプラスになっているのだな、と実感しています。
それでもやっぱりまた近いうち、時間を作って心身のリセットに再訪したい。
そう思わせてくれるリゾートでした。

Texts by Daisuke Nakano
Photos by Daisuke Nakano / Ms. Yuuki Tadokoro (Professional Photographer) / Zulal Wellness Resort by Chiva-Som

カタールは、同国に暮らす外国人の間で長く愛されてきました。荒涼とした砂漠と穏やかな海が出会う風景の中に、超高層ビルと現代アートが点在する同国は、多彩な顔を併せ持つ新興の観光地として注目を集めています。世界最新のウェルネス・デスティネーションとしてカタール半島にオープンするズラル・ウェルネスリゾート・バイ・チバソムは、同国の新しい顔の一つです。その静かな環境の中で、心身を癒すプログラムに取り組むのもよし、砂丘を滑り降りるサンドボードなど砂漠のアドベンチャーに出掛けるのもよし、様々な体験を楽しめるカタールの魅力をご紹介します。

カタールへの旅行は、首都ドーハのハマド国際空港に就航している国際線が便利です。中東のハブ空港として機能する同空港は、世界中の都市から何百ものフライトが乗り入れています。利用者からの人気も非常に高く、英国の航空調査会社「スカイトラックス」による2021年の世界空港ランキングにおいて、名誉ある1位に選ばれています。

 

カタールは、豊かな文化遺産を守りつつ、その視線は一歩先の未来を見つめています。アイコニックな超高層ビルが海を見おろすようにそびえ立ち、夜にライトアップされると、近未来的な美しい夜景が広がります。リラックスした雰囲気の街は、ショッピングやレストランも充実しています。海外からの旅行者は温かく迎えられ、中東の他地域と比べてドレスコードは非常に寛容ですが、男女問わず、肩と膝が露出していない控えめな服装をすることをお勧めします。

中東の現代アートの拠点としての存在感を増すカタールには、世界一流のコレクションを誇るイスラム美術館(MIA)やシェイク・ファイサル・ビン・カッシム・アル・タニ美術館(主にシェイクの個人コレクションを展示)があります。

世界的な建築家や建築事務所が手がけたドーハの現代建築も見逃せません。I.M.ペイ氏によるMIA、ジャン・ヌーヴェル氏によるカタール国立博物館、OMAによる革新的なカタール国立図書館、ザハ・ハディド氏によるサッカースタジアムは、同国を代表する建築アイコンです。

プリツカー賞を受賞したジャン・ヌーヴェル氏が設計したカタール国立博物館は、カタールの砂漠から発見される「砂漠の薔薇」(薔薇の花びらのような形状に結晶化した鉱物)がモチーフとなっています。

ドーハ湾に沿って弧を描くプロムナード「コーニッシュ」は、多彩なアトラクションが集まる観光スポットです。伝統的な木製漁船「ダウ船」が浮かぶ水平線や、リチャード・セラの彫刻作品を眺めながら、日没時の散策をお楽しみください。

コーニッシュからドーハ湾越しに見える人工島「ザ・パール」は、豪華なビーチヴィラ、スーパーカー、ヨットをはじめ、全てがラグジュアリーな街です。水上タクシーを利用して、島内の広場、ブティック、レストランを巡ることができます。

伝統的なショッピングを体験されたい方には、「スークワキーフ」がお勧めです。迷路のように入り組んだ市場内に、スパイス類から、絨毯、そして貴重な鷹まで、中東ならではの商品がずらりと並んでいます。スークワキーフは、ショッピングにとどまらず、 カタールの伝統的な料理やローカルアートに触れられるスポットです。スークワキーフ芸術センターでは、地元アーティストやゲストアーティストの作品が展示されています。

カタールの国土の大部分が砂漠であり、究極の遊び場です。ラクダ乗り、サンドボード、鷹狩りなど、砂漠の冒険に出掛けましょう!風の流れに合わせて形を変え、砂粒がこすり合い歌を奏でる砂丘「シンギング・サンド・デューン」は、首都からそう遠くない場所にあります。更に南下すると、ホール・アル・ウデイドの内海に辿り着きます。砂漠の奥地に突き出した内海は、世界的にも珍しく、幻想的な世界が広がっています。

来年、全世界が注目する「2022 FIFAワールドカップ」を主催するカタールは、国が一丸となり、他の追随を許さないスピードで開発が進められています。世界中からのトラベラーをもてなすために、高級ホテルの開業が多数予定されており、ウェルネスのパイオニアとして世界に名を馳せるチバソムが手がけるズラル・ウェルネスリゾートも、その一つです。

高い生活水準を備えた持続可能な先進社会になるという「カタール国家ビジョン2030」に従い開発が進められている当リゾートは、中東最高峰のウェルネス・デスティネーションとして期待されています。長年にわたり、世界中のトラベラーの高い要求水準に応えてきたチバソムのノウハウを活かし、カタールの文化や伝統的なホスピタリティとのつながりを保ちながら、世界最高水準のサービスを提供します。

2021年後半にオープン予定の当リゾートは、カタール旅行のハイライトになるでしょう。欧州の多くの都市から飛行機で約6時間とアクセスも良く、リラクゼーションと若返りのための理想的な環境の中で、チバソムの専門家による世界一流のサービスを受けながら、ウェルネスへの旅に専念することができます。

 

 

 

 

 

穏やかなアラビア湾岸に小さく突き出したカタール半島の北端に立つズラル・ウェルネスリゾート・バイ・チバソムは、カタールの首都ドーハより、車で90分の距離に位置します。大人専用の「セレニティ」と、ファミリー向けの「ディスカバリー」の2つのエリアを擁し、幅広いウェルネス施設、ヘルシーな食事、包括的なアラブ・イスラム伝統医学、チバソムの何百にも上るトリートメントを取り揃えた当リゾートは、ボディ、マインド、スピリットに変化と調和をもたらすウェルネス体験をお約束します。